
- 昭和41年東京医科歯科大学医学部卒業。
- 昭和44年から米国留学、クリーブランド、フィラデルフィアのクルーゼンリハビリテーション研究所研究員をして、昭和51年に帰国。
- 防衛大リハビリテーション部助教授・副部長等を経て、現在、浜松市医療公社常務理事(リハビリテーション総括)。
- 日本リハビリテーション医学会で常任理事を経て現在監事、リハビリテーション科指導責任医・専門医。
- リハビリテーション医学の第一人者として、臨床・研究・理論・教育など多方面で活躍中。
高齢でも車椅子でも、「何らかの形で」歩く運動を!
「高齢者の運動能力の低下」
今、高齢者の「大腿骨頚部骨折」が急増しているのはご存知ですか?
ここ15年間ね約2倍以上にも増加しています。
「大腿骨頚部骨折」で起こる問題は、しばらくの間歩けなくなる、運動できなくなることで筋力が低下したり、関節が硬くなったりすることだけではありません。
もっと怖いのは、いわゆるエコノミー症候群として知られるように、下肢を動かさないことによって足の筋肉の深いところにある血管が詰まってしまい(深部静脈血栓症)、この血栓がちょっとした動きで肺に詰まり、空隙に血圧が下がったり、息ができなくなるといった状態に陥ることがあるのです。
もちろん、臥床生活が長期にわたれば、前述の「寝たきり」や「認知症」にもつながりかねません。
ですから、何より重要なのは、早期からできるだけ「歩くリハビリ」を行うことです。
そこで浜松市リハ病院では、治療プログラムの一環に「イージ・ウォーク」も取り入れています。
まずは足を動かして鍛えましょう
「イージ・ウォーク」は一見、ただ足首を動かしているだけのように見えますよね(笑)
しかし、これによって、足を動かさなかったことで固まってしまった足首の関節や筋肉の運動ができ、関節の可動域を広げたり、血流を良くする、足の感覚を取り戻す、といった効果があります。
歩く準備状況をつくるということになります。
日本の場合、昔から何かと言えば「安静が一番」「ゆっくり養生しようよう」などという言葉が医療の現場でも聞かれていました。
しかし、この言葉が日本のリハビリテーションの発展を遅らせてきたといっても過言ではありません。
また、たくさんの寝たきりの高齢者をつくってきた原因のひとつ、と言ってもいいでしょう。
高齢になれば、誰でも若い頃よりは運動したり歩く機会は少なくなってきますが、「歩く」ことは
筋肉や関節の健康を維持し、血液などの循環を促し、内臓機能の低下を防止したりと、全身的な健康を維持するために非常に大切な運動です。
また認知症や精神機能の低加を防ぎ、前向きに生きるためにも非常に重要な行為です。
高齢になっても、たとえ車イスの生活でも、ただ「ゆっくり安静に」しているだけでなく自分で車イスをこぐ、車イスからベッドに乗り移るなどの活動が重要です。
先程も言いましたが「イージ・ウォーク」は歩行の準備だけではなく、活発なアクティビティの下支えになりましょう。
「何らかの形で歩き続ける」といった意味でも、介護施設や在宅でもっと使われて良い機器だと思います。
